My lovely person

01


17世紀・・・
まだ、海賊がたくさんいた時代・・・
ある日、ひとつの村が海賊によって滅ぼされた・・・
「キャー!!」
「うわぁー!!助けてー!!」
「女は捕まえて、後は殺せー!!子供や年寄りだからといって容赦するなー!!逆らうものは殺せ!!」
この村は貧しく、男手も少なく、女子供、年寄りが多かった。
「殺せ!!つかまえろー!!」
キャプテンらしき男が叫んでいる場所の後方から船員らしき男と村の女の言い争う声が聞こえてきた。その女の腕の
中には黒髪の子供がいた。
「その子供を渡せ!!」
「やめて!!この子だけは!!この子だけは!!」
「うるせぇ!!その子供を渡せ!!」
「嫌よ!!この子だけは渡さないわ!!」
「黙れ!!その子供を渡さないのならお前が死ね!!」
男はそう言うと剣を抜き、女を殺した。
子供は大きく目を見開き、女を見つめていた。
理解できなかった・・・さっきまで自分を守ってくれていた人が一瞬のうちに動かなくなってしまったなんて・・・
しかし、理解すると子供は女にすがりつき、泣き始めた。女の名前を呼んでいるようだったが、子供の口から出たの
は空気だけだった・・・
そんな、子供を男は冷たい目で見、泣きながらすがりついている子供の腕をとり、勢いよく引っ張り上げた。
「おら!来い!!」
しかし、子供は首を横に振り、抵抗した、が、
「来いっつってんだよっ!!」
しょせん大人と子供・・・大人の力にかなうはずもなく子供は男にキャプテンのいる場所に連れていかれてしまった。
「お頭!上玉を捕まえてきましたぜ。」
男はそう言うと子供をキャプテンの前へと引っ張った。
「子供じゃないか!!子供は殺せと言ったはずだ!!」
「待ってください!!こいつですよ。村のやつらが必死になって守ってたのは。」
「何?それは本当か?」
「間違いありません。さっきも、女がこいつを渡さないって言って逆らってきたから殺したとこですよ。それに、こいつの
顔、ほかの奴等なんぞ到底およばないくらい綺麗ですぜ。」
「ほう。どれ?」
キャプテンはそう言うと下をむいている子供のあごに手を当て、無理矢理上を向かした。そこには、目はこぼれそうな
くらい大きく、その目のまわりには長いまつ毛がふちどられ、鼻は小振りで高すぎもせず低すぎもせずとても綺麗で、
唇はチェリーピンクで小さく、すべてのパーツが小さな顔に綺麗におさまっており、少し緑がかかった黒のサラサラな
髪をした子供のがいた。
「なるほど・・・。これは、ほかのどの女も目に入らないな。」
「村の者どもが守りたがるはずでしょう?」
「・・・よし。今日の収穫はこの子供だ!ほかの者は皆殺しだ!!」
「「「イエッサー!!!!」」」
キャプテンの命令に船員が返事をすると、皆いっせいに村人たちを殺しだした・・・子供はただ涙を流すだけしかでき
なった・・・
と、その時・・・
「何をしている。」
いきなり男の声が低く響いた。
「誰だ?!」
海賊たちがいっせいに振り向くとそこには青と赤と白のストライプにドクロのマークが入った旗を持った男たちがいた。
その旗を見るなり海賊たちは青くなり叫んだ。
「そ、そ、その旗は!!貴様等征鷽(せいがく)か?!」
「およ?俺たちのこと知ってたぜ。」
「ほんと。こんな雑魚まで知ってるなんて、僕たちの名前も広がったねぇ。」
「広がったのは全部うちの船長のおかげだな。」
「だね。・・・それにしても、この村はひどいな。」
「ほんとほんと。罪もない人たちを殺すなんて許せなーい。」
「僕も許せないなぁ。殺っちゃおうか。」
「おっ!いいねぇ。俺も俺も!!」
などと笑顔で会話しているのはサラサラ茶髪でニコニコと笑っている不二周助と赤茶色をした髪に頬にバンソウコウを
張った猫みたいな菊丸英二。
「おいおい、頼むから怪我しないでくれよ。」
と言っているのは水泳帽みたいな変な髪形をして優しそうな顔をした大石秀一郎。
「俺も参加したいっす!!」
「けっ!バカが。また怪我すんのがおちだろ。」
「なんだとー!てめぇ!もう一回言ってみろ!!」
喧嘩しているのはツンツンヘヤ―の桃城武に頭にバンダナを巻いて変な白い息を吐いている海堂薫。
「ふ、二人とも喧嘩しないで!」
「ふむ。今日も雷が落ちる確立90%。」
おろおろしていて温和そうなのが河村隆、分厚い逆光めがねをかけた長身が乾貞治。
「二人とも船に帰ったら全船内掃除だ!!」
そして、キャプテンの手塚国光。
「ええ!!そりゃないっすよーキャプテン〜!!」
「・・・ふんっ。」
「やはりデータは嘘はいわないな。」
「で、殺っちゃっていいの?キャプテン。」
「キャプテ〜ん!!」
「・・・・・・・・・・いいだろう。」
「「やり〜!!」」
そう言うと、二人は嬉しそうに走って行った。
「・・・桃城。お前はここにいろ。」
「え〜!!なんでっすか?!」
「今回我慢したら、二人とも船内掃除はなしにしてやる。」
「へ〜い。」
「ありがとうございます。」



――――そして10分後
「みんなー!!ちょっとこっち来てー!!」
「生存者が1人いたにゃー!!」
海賊たちを全員殺した二人がみんなを呼んだ。
「何?!今行く。」
その時手塚はなぜか胸騒ぎがしていた。